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GHG排出量とは?GHGプロトコルの概要や各スコープの定義を解説

GHG排出量とは?GHGプロトコルの概要や各スコープの定義を解説
目次

Scope1・2・3で理解するGHGの排出量

気候変動対策の中核にあるのが「温室効果ガス(GHG)の可視化」です。
企業や組織は、自社での排出だけでなく、製品やサービスのサプライチェーン全体に関わる排出量についても目を向ける必要があります。
その国際的な基準として広く使われているのが、「GHGプロトコル」に基づくScope(スコープ)1、Scope2、Scope3の分類です。
本稿では、それぞれの定義と意義をわかりやすく解説します。

 

GHGプロトコルとは

GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)は、企業や自治体が温室効果ガス(GHG)の排出量を統一的に算定・報告するための国際的なガイドラインです。

温室効果ガス削減の機運は、1997年の京都議定書採択を契機に高まりましたが、当時は算定方法が国や企業ごとに異なり、比較や評価が困難でした。
こうした課題を解消するため、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)とWRI(世界資源研究所)が共同で枠組みを整備し、2001年に発表。排出源をScope(スコープ)1・2・3に分類する手法が導入され、現在では世界中の企業や国際機関で事実上の標準として活用されています。

 

Scope1:自社による直接排出

Scope1は、自社が所有または管理する設備や車両などから発生する、燃料の燃焼や化学反応などによる直接的な排出を指します。

例としては、以下のようなものがあります。

  • 工場での石炭や重油の燃焼によるCO₂排出
  • 製造工程で発生する温室効果ガス(例:セメント製造時のCO₂)
  • 社有車でのガソリンや軽油使用による排出

これらは自社の管理下にあるため、削減に向けた取り組みが比較的進めやすい領域です。

 

Scope2:他社から供給されたエネルギーの使用に伴う間接排出

Scope2は、他社から購入した電力・熱・蒸気などを使用する際に、発電や供給の過程で発生する排出を指します。

企業自身が直接燃料を燃やすわけではありませんが、使用電力の供給過程で発生した排出を自社の排出として計上します。

例えば、火力発電由来の電力を使用するオフィスや工場は、発電段階で排出されたGHGがScope2として計上されます。
省エネ機器の導入や再生可能エネルギー電力の調達は、この領域での削減手段となります。

 

Scope3:その他の間接排出

Scope3は、自社の活動に関連しながらもScope1・2には含まれない間接排出の総称です。

サプライチェーン全体にわたり、15のカテゴリに細分化されます。

上流側(カテゴリ1〜8)

  • 原材料や部品の製造
  • 調達品の輸送・保管
  • 廃棄物処理 など

下流側(カテゴリ9〜15)

  • 製品使用時のエネルギー消費
  • 製品の廃棄・リサイクル
  • 従業員の通勤・出張 など

 
Scope3は排出量の多くを占めることが多く、削減には取引先や顧客との連携が不可欠です。その一方で、データ収集や算定方法の難易度が高い領域でもあります。

 

排出量算定の方法とメリット

スコープごとの排出量は、基本的に

活動量 × 排出原単位

で算定します。

排出原単位は、使用エネルギーや活動の種類ごとに定められた「1単位あたりのGHG排出量」を示す係数です。

Scope(スコープ)別に算定することで得られるメリットは、以下の通りです。

  • 削減の優先順位が明確になる(例:Scope3の輸送部門が突出して高ければ、物流改善を優先)
  • 環境経営の指標化が可能となり、SBTやTCFDなど国際的枠組みへの対応がしやすくなる
  • 顧客や投資家への説明責任を果たし、企業価値向上につながる

 

現状の動向と企業への影響

日本でも大企業を中心に、Scope3まで含めた排出量の算定と開示が広がっています。
特に、上場企業やグローバルサプライチェーンに関わる企業では、取引先からScope3のデータ提供を求められるケースが増加しています。

今後は中小企業にもこの波が広がると予想され、単なる環境対応にとどまらず、事業コストや競争力に直結する要素になることが想定されます。

 

まとめ

プライム・スター株式会社は、「エネルギーループの実現」というミッションのもと、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を正確に把握し、それを“コスト”として位置づけています。
製品ごとのLCA(ライフサイクルアセスメント)計測にも取り組み、当社製品が製造から廃棄に至るまで、環境へどのような影響を与えるのかを定量的に把握できるよう、着手いたしました。

Scope1・2・3の枠組みを活用し、サプライチェーン全体の排出を可視化することで、持続可能なエネルギー活用と経営効率の向上を両立できることを目指しています。

この記事を書いた人

プライム・スター株式会社 代表取締役

下田知代

LED照明コンサルティングから製造へ進出、 現在はエネルギーをつくる・ためる・へらすの総合的なソリューションを提案中。 お客様の課題解決のため、実践的な情報をコラムにてお届けします。