光とは何か?可視光線と波長でわかる「色の見え方」をやさしく解説【保存版】
色ってなに?
私たちが目で見ている世界は「光」によって形作られています。
その光が持つもっとも重要な性質のひとつが「波長」です。
光の波長のちがいが、色として認識され、私たちの暮らしに彩りを与えています。
ここでは、光のしくみを「波長」と「色」という視点から整理し、自然界や社会でどのように活かされているのかを紹介します。
光と色の関係
光は電磁波という波の一種であるため、高い山になる部分、谷になる部分があります。
この「山」「谷」「山」の周期の長さを「波長」と呼びます。
単位はメートル(m)ですが、光の場合は非常に短いため、ナノメートル(nm、10億分の1m) で表すのが一般的です。
私たちが目で認識できる範囲はおよそ 380nmから780nm で、これを「可視光線」といいます。
- 波長が短い(380〜450nm) → 紫や青の光
- 波長が中くらい(500〜570nm) → 緑や黄の光
- 波長が長い(620〜780nm) → 橙から赤の光
色の違いは、この「波長の長さの違い」を人間の目が翻訳して見せている現象といえます。
虹が教えてくれる波長のひみつ
雨上がりに見える虹は、光の波長のちがいを直感的に示してくれます。
太陽光が水滴の中で屈折・反射し、波長ごとに分解されることで、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色に分かれます。
この現象は「分光」と呼ばれ、科学の世界では光の正体を知る大きな手がかりとなりました。
今日では、天文学で星の成分を調べる「分光観測」や、食品検査・医療分野での「光分析」など、さまざまな応用につながっています。
光と色彩感覚 ― 人間の目のしくみ
人間の網膜には、光を感じ取る細胞が二種類あります。
暗い場所で働く 桿体細胞(かんたいさいぼう) と、色を識別する 錐体細胞(すいたいさいぼう) です。
錐体細胞には、波長の異なる光に反応する3種類があり、それぞれ赤・緑・青を感知します。
この組み合わせによって、数百万色もの色彩を認識することができるのです。
たとえば、青い空は短波長の光が散乱するために見え、夕焼けは長波長の赤が強調されるために起こります。
私たちが「美しい」と感じる景色は、光の波長と人間の目の仕組みが生み出す奇跡的な現象といえるでしょう。
LED照明と波長制御
近年普及が進む LED照明 は、波長を自在に操る技術の結晶です。
一般的な白色LEDは 青色LED(青色発光ダイオード) に蛍光体をコーティングすることで、6500K(昼光色)から2000K(電球色) まで幅広い色温度を表現します。
この方式は効率が高く、現在もっとも広く使われています。
一方で、より自然光に近い色合いを実現する方式として 紫色LED が利用されることもあります。
紫色LEDは、赤・緑・青をバランスよく含むスペクトルを作り出せるため、演色性(物の色の見え方)が非常に高くなります。
その結果、肌の色や食品、美術品の色を自然に再現できるのが特徴です。
ただし、紫色LEDは青色LEDとは材料や製造プロセスが異なり、コストや効率面での課題もあります。それでも「光の質」を求める分野、たとえば医療施設、美術館、化粧品売り場などで注目されており、今後は一般照明でも活用が広がると期待されています。
プライム・スターの太陽光LED照明「Colors」は、自然光に近いあかりで照らす、直管型LED照明では唯一のランプです。
太陽光と波長のバランス
太陽光は可視光線だけでなく、紫外線や赤外線も含んでいます。
紫外線は短波長でエネルギーが強く、過剰に浴びると皮膚にダメージを与える一方、ビタミンD生成には欠かせません。
赤外線は長波長で熱を伝える性質があり、暖房やリモコン、赤外線カメラなどに利用されています。
太陽光のスペクトルは非常にバランスが良く、人間が「自然な光」と感じる基準にもなっています。
そのため、照明設計やディスプレイ開発では「太陽光にどれだけ近づけるか」が大きなテーマとなっています。
光とエネルギー効率
波長の理解は「エネルギー効率」にも直結します。
太陽光発電パネルは、特定の波長の光子を電気に変換しますが、すべての波長を効率よく使えるわけではありません。
そのため、新しい太陽電池では複数の波長帯を捉えられる「多接合セル」や「ペロブスカイト型」が研究され、発電効率の向上が期待されています。
同じように、照明の世界では「演色性(色の見え方の自然さ)」を考慮して波長を設計することが求められています。
効率と快適性を両立させる技術こそ、次世代の光のしくみの重要なテーマといえるでしょう。
光の波長がひらく未来
光と色の関係を探ることは、科学だけでなく生活の質や社会の仕組みにまで広がります。
医療では、特定の波長を使った光治療がうつ症状や皮膚疾患の改善に役立っています。
通信分野では、波長多重技術を用いることで光ファイバー1本に膨大な情報を流すことが可能になっています。
これからの時代、私たちが扱う「光」は単なる明かりではなく、健康、環境、情報、エネルギーを支える重要な要素となっていくのです。
まとめ
色の違いは、その物質が反射する波長の違いによって生じます。
光に照らされた物質は特定の波長を反射し、その情報を網膜の 錐体細胞(すいたいさいぼう) が受け取り、脳へ伝えます。
脳の視覚野では、錐体から送られた信号を比較・統合することで「赤らしい」「青っぽい」といった色を判断しています。
つまり、私たちが見ている色は、光の物理的な波長と、脳の情報処理が組み合わさってはじめて成立する知覚なのです。
さらに、人間を含む霊長類は3種類の錐体を持ち、それぞれ 赤(R)・緑(G)・青(B) に感度を持っています。
これにより光の三原色を基盤とした多彩な色を認識でき、彩り豊かな世界を享受しています。
いかがでしたでしょうか?
人間や生物が地球上に存在する以上、太陽光との関係が、いかに重要であるかをご理解いただけるかと思います。
照明そのもの、また制御を通して快適な空間を作り出していくことは、私たちプライム・スターの重要なミッションのひとつです。