脱炭素における補助金交付金の具体的事例を紹介
自治体脱炭素事業と補助金・交付金
気候変動対策は、国内外において最重要課題のひとつと位置付けられています。
令和6年度の予算において、環境省の補助金支援サイト「脱炭素化事業支援情報サイト(エネ特ポータル)」によると、上から順に数えただけでも50件以上の補助金、委託事業が掲載されています。
そのなかでも、「地域脱炭素推進交付金」は、その予算額も群を抜いて潤沢に用意されており、地方自治体における脱炭素事業推進の要です。
今回のコラムでは、この「地域脱炭素推進交付金」活用の具体的事例を紹介したいと思います。
地域脱炭素推進交付金の目的と概要
地域脱炭素推進交付金は、地方公共団体が地域全体で再生可能エネルギー(再エネ)、省エネルギー(省エネ)、蓄エネルギー(蓄エネ)といった脱炭素製品や技術の需要を創出し、投資を拡大することを目的としています。
これにより、意欲的な脱炭素の取組を行う地方公共団体等に対して、地域脱炭素推進交付金により支援し、地域社会と住民の生活を脱炭素化して持続可能な社会の実現を目指しています。
主要な支援事業
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金
- 脱炭素先行地域づくり事業への支援:
脱炭素化に先行して取り組む地域を支援し、その成功モデルを全国に広める。
- 重点対策加速化事業への支援:
特に重要な脱炭素対策を早期に実施し、地域全体の脱炭素化を加速させる。
特定地域脱炭素移行加速化交付金【GX】
民間裨益(ひえき)型自営線マイクログリッド等事業への支援:
地域内でのエネルギー自給自足を目指すマイクログリッドの導入を支援することで、エネルギーの安定供給と脱炭素化を図る。
地域脱炭素施策評価・検証・監理等事業
脱炭素先行地域・重点対策加速化事業の評価と改善:
データに基づく評価と検証を行い、必要な改善策を講じるとともに、適正かつ効率的な事業の執行監理を実施する。
支援の具体的な形態と対象
事業形態 | 交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金)および委託費(地域脱炭素施策評価・検証・監理等事業) |
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交付対象・委託先 | 地方公共団体、民間事業者・団体等 |
実施期間 | 令和4年度から令和12年度まで |
具体例
つくば市のケース
計画名
「脱炭素がもたらすスーパーシティの加速化とスタートアップ創出・企業誘致よる中心市街地の活性化」
取組の全体像
①民間、公共施設に太陽光発電(1505kW)・蓄電池を導入し、エネルギーマネジメントを行うとともに、共同溝を活用した民間裨益自営線(2.6km)マイクログリッドを構築
②市内医薬品工場にて発生する魚油を燃料とするバイオマス発電(510kw)の導入
③市内で発生し現在廃棄物処理している葉刈芝、剪定枝を廃棄物発電のバイオマス燃料として活用
④民間・公共施設における照明LED化、空調設備高効率化等の省エネ改修実施
これらの取り組みにより、主なエネルギー需要家である集合住宅3棟、民間施設21か所、公共施設14施設が恩恵を被ることとなります。
(つくば市発表資料より引用)
長崎市のケース
計画名
「歴史文化×夜景観光×脱炭素が融合した長崎市版サステナブルツーリズムの世界発信」
取組の全体像
持続可能な観光ガイドラインの取得を目指し、選ばれる観光都市を世界に発信する。
①太陽光発電4,200kW、廃棄物発電3,800kWを導入し、地域新電力「ながさきサステナエナジー」がエリア内需要家に電力供給
②長崎夜景のランドマーク施設群(観光・ライトアップ84施設、街路灯)
③国選定重要伝統的建造物群保存地区等における戸建住宅(553戸)、民間施設(152施設)、公共施設(44施設)にLED照明、高効率空調等を導入
(長崎市資料より引用)
脱炭素先行地域
脱炭素先行地域は、現在、73の各地域における提案が選定されています。(令和6年3月18日時点)
今後も、脱炭素またはBCPの観点から、再エネ電力や蓄電池等に対する、国から地方への補助金や交付金は継続することが見込まれ、地域の独自性、町おこしや課題解決と併せ、地域と民間の協業をもとに脱炭素社会の実現が展開されていくでしょう。
まとめ
今回は、脱炭素の取組を行う地方公共団体等を継続的かつ包括的に支援するスキームである、地域脱炭素推進交付金について紹介いたしました。
プライム・スター株式会社では、「LED照明」「垂直型太陽光パネル」「レドックスフローバッテリー」等を通して、自治体の脱炭素インフラへの転換や実現に対するご支援をさせていただいています。
どうぞお気軽にご相談ください。