LED照明リニューアルでの課題:オフィス等で使われている蛍光灯用器具【G13口金ソケット】について、詳しく解説
はじめに
オフィスや駐車場等で多く使用されてきた蛍光灯用照明器具は、G13口金という種類のソケットを使用しています。
当コラムでは、日本照明工業会が2020年3月にリリースした技術資料301、いわゆるJLMA301や設置におけるガイドについてまとめてみました。
これまでの経緯
2011年の東日本大震災以降、日本国内におけるLED照明は、世界の動向より先んじて普及が進んでまいりました。
加速度的に普及が進んだ側面もあり、照明業界団体である日本照明工業会では、蛍光灯用の電源を通電状況のままで残置することで、旧電源が焼損する危険性や、蛍光灯の誤装着による事故を指摘するなど、安全性の啓蒙に努めてきました。
言い換えると、既存の照明用灯具のG13口金を流用せず、LED照明への切り替えはあくまで器具とランプを一体的に交換すべきであるとの主張です。
そこで、2013年にLED照明に関するJIS規格としてGx16-t5口金、いわゆるL形ソケットについての一般形照明器具規格を制定し、
G13口金に替わるLED照明器具・ランプ規格が新設されました。
世界の潮流と日本国内の現状
一方、世界に目を向けると、アメリカ、欧州、中国では一般的にG13口金のLED照明が普及しています。
それぞれ、アメリカではANSI、EUではEN62276、中国ではCCCによりENを流用した規格が制定されている等、G13口金をもったLED照明についての規格が整備されています。
そのような中、L形口金が普及するにはいくつかのハードルがありました。
国際規格とは異なる日本独自の形状をした口金であること、普及が緒についたばかりで価格も高額であったこと、さらには一般ユーザーからすれば、「既存の灯具を使ったほうが簡単で安価である」との認識が広まっていたことです。
JLMA301の登場
同協会の警鐘にも関わらず拡大するG13口金のLED照明に対処するため、2020年に日本照明工業会規格 JLMA 301が登場いたしました。
同規格は、AC直結G13口金直管LED光源の安全性を担保するための規格です。
以下に主要なポイントを要約します。
- 適用範囲
・AC電源(100V~300V)に直接接続するG13口金の直管LED光源に適用。
・この規格で規定されるLED光源を装着した照明器具は、光源と照明器具の組み合わせにおいて技術基準に適合する必要がある。 - 引用規格
・JIS規格やその他の規定を引用しており、これらは安全性を保証するために必要な基準です。 - 一般要求事項
・通常の使用状態で危険が生じない設計であること。
・光出力にちらつきがないこと。
・発煙や発火などの火災に関連する故障がないこと。 - 互換性
・電気的互換性を確保し、口金のかん合部や光源の寸法についての基準を満たす必要がある。 - 構造
・充電部相互や充電部と非充電部との接続部分が安全であること。
・内部配線や防湿処理などの基準を満たすこと。 - 部品及び附属品
・使用される部品や附属品の定格電圧、定格電流が規定されていること。 - 材料
・器体の材料は、高温に耐えるものであること。
・電気絶縁物や熱絶縁物の基準を満たすこと。 - 感電に対する保護
・充電部には試験指が触れない設計であること。
・定格電圧が150Vを超える場合、二重絶縁や強化絶縁を施す必要があります。 - 沿面距離、空間距離及び絶縁物の厚さ
・空間距離や沿面距離に関する基準を満たすこと。 - .二重絶縁
・充電部と器体の表面との間に基礎絶縁と付加絶縁を施す必要があります。 - .温度上昇
・使用時の温度上昇が一定の範囲内に収まること。 - .光生物学的安全性
・青色光による網膜傷害のリスクグループはRG1を超えないこと。 - .EMC
・電磁両立性(EMC)に関する基準を満たすこと。
ガイド301 取り付け基準についても明示化
更に、照明製品規格に加え、取り付け手法や表示についても定義されました。
主に、劣化部品(ソケットや端子台)の点検と交換、誤脱着を防止するための措置、安定器の取り外し、表示等です。
これにより、JIS規格とは異なるものの、G13口金が事実上ランプ、器具改造について消極的ながら日本照明工業会のガイドとして規格化されたこととなりました。
まとめ
G13口金LED照明は、既存の灯具を利用することで廃棄物を減らし、資源を利用しながら電気代の節減が可能です。
しかし、その導入に際しては、安全性を確保するために適切な規格に準拠することが不可欠となります。
プライム・スターのG13口金LED照明は、厳しい品質基準を満たしており、消費者に安心して使用していただける製品です。
自社の工事部隊による施工管理を行うことで、ガイド301も満たし、安全面での配慮は万全です。
既存灯具の活用を考慮したG13口金LED照明は、ガイドラインが制定されたことにより、安全に普及拡大していくことを予想しています。