レドックスフロー電池が蓄電池補助金に初採択 長洲蓄電所で加速する次世代蓄電技術

2025年3月11日、株式会社新出光(福岡県福岡市)は、住友電気工業株式会社(大阪府大阪市)のレドックスフロー(RF)電池を活用した系統用蓄電所「長洲蓄電所」(熊本県長洲町)の建設を開始すると発表しました。
本プロジェクトは、レドックスフロー電池が政府の補助金に初めて採択された画期的な事例であり、同電池普及拡大におけるきっかけとなりそうです。
レドックスフロー電池とは?
レドックスフロー電池とは、電解液を外部タンクに貯蔵し、必要に応じて電力を充放電できる蓄電技術です。
従来のリチウムイオン電池と異なり、充放電回数が多くても劣化しにくく、長寿命であることが特徴となります。
また、大容量化が容易で、火災リスクが低いため、安全性の高いエネルギー貯蔵システムとして注目されています。
初の補助金採択の意義

出典:日本経済新聞より 新出光、熊本県長洲町に蓄電所 イメージ画像
日本政府はこれまで、再生可能エネルギーの導入促進を目的としたさまざまな補助金制度を設けてきました。
同事業は、経済産業省(一般社団法人環境共生イニシアチブ)が公募する「令和6年度 再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」の支援対象となりました。
系統用のレドックスフロー電池が支援対象となったのは今回が初めてとなり、この採択には、以下のような大きな意義があります。
再生可能エネルギーの安定供給
レドックスフロー電池は、数十年単位での運用が可能であり、再生可能エネルギーの安定供給に貢献いたします。
政府が正式に認めた技術
また、この技術の社会的意義が政府によって正式に認められたということを意味します。
リチウムイオン電池以外の選択肢
これまでリチウムイオン電池が主流だった市場に新たな選択肢が加わることとなりました。
日本経済新聞より 新出光、熊本県長洲町に蓄電所 26年運転開始
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC114RX0R10C25A3000000/
「長洲蓄電所」の概要と期待
長洲蓄電所は、出力1.99MW、電池容量8MWh(2MW×4時間)の規模で建設されます。
運転開始は2026年10月を予定しており、電源開発(Jパワー)が電力市場での電力取引を担い、設備の施工・保守は新出光の子会社である新出光ファシリティーズが担当するとのことです。
今後の展望と審査ポイントの詳細
今回の補助金採択の背景には、技術的優位性や事業者の経験に対する具体的な評価があったものと想定されます。
レドックスフロー電池は、以下のような特長で審査ポイントにおいて加点を受けた可能性があります。
- 長寿命と低劣化
リチウムイオン電池と異なり、レドックスフロー電池は充放電を繰り返しても劣化が少なく、数十年単位で運用可能。
このため、長期的な視点での経済性と安定性が評価された。
- 大規模導入の適性
大容量化が容易で、特に系統用蓄電システムとして導入しやすい点が、審査において有利に働いた。
- 安全性の高さ
火災リスクが低く、運用面での安全性が高いため、長期的なエネルギーインフラとしての信頼性が評価された。
- 事業者の経験と実績
施工・保守を担当する新出光ファシリティーズの実績、ならびに電源開発(Jパワー)による市場取引計画の具体性が、実現可能性の高いプロジェクトとして評価された。
まとめ
国の補助金を獲得するということは、国家プロジェクトとして、レドックスフロー電池の社会的価値が正式に認められたことを意味します。
エネルギー政策は国家戦略の要であり、経済安全保障や資源確保の観点からも、蓄電池政策は極めて優先度の高い分野です。
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