蛍光灯からLED照明へ!取替費用の「修繕費」と「資本的支出」の違いと国税庁の見解を解説

照明における2027年問題とは、蛍光灯の製造、輸入停止の期限到来です。
当社でも、LED照明リニューアルのご相談も日々増加している状況です。
今回のコラムでは、LED照明への取替交換における会計処理について、国税庁の見解をご紹介し、注意点や対応についてご紹介いたします。
修繕費と資本的支出の違い
法人税法では、固定資産に対する支出を「修繕費」と「資本的支出」に分類しています。
修繕費とは、固定資産の通常の維持管理や原状回復のための費用を指し、支出した年度の経費として一括計上が可能です。
一方、資本的支出は、固定資産の価値を高めたり、耐久性を増すための費用であり、資産計上して減価償却を行う必要があります。
LEDランプ取替費用に対する国税庁の見解
国税庁は、事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の費用について、以下の見解を示しています。
抜粋引用:自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm
事例
取替の概要
事務室の蛍光灯100本を蛍光灯型LEDランプに取り替え、総費用は1,100,000円(ランプ購入費用10,000円/本、取付工事費1,000円/本)。
取替メリット
消費電力の削減、寿命の延長、紫外線の低減による商品への影響軽減、虫の飛来抑制、安全性の向上、発熱の低減による空調負荷の軽減など。
国税庁の見解
蛍光灯や蛍光灯型LEDランプは、照明設備(建物附属設備)の一部品であり、その性能向上のみでは建物附属設備全体の価値向上とはみなされない。したがって、これらの取替費用は修繕費として処理することが適当である。
この見解により、蛍光灯からLEDランプへの交換費用は、修繕費として一括損金算入が可能であることが明確化されました。
注意点と対応
修繕費として処理する際の注意点
LEDランプへの交換が修繕費として認められるためには、以下の点に留意する必要があります。
- 取替内容の範囲: 照明器具の単純な交換であり、建物全体の配電工事や大規模な改修を伴わないこと。
- 費用の妥当性: 一般的な取替費用の範囲内であり、過度な高額支出でないこと。
- 目的の明確化: 節電や維持管理のための取替であり、資産価値の向上を主目的としていないこと。
これらの条件を満たすことで、取替費用を修繕費として処理することが可能となります。
資本的支出に該当するケース
一方、以下の場合には資本的支出と判断される可能性があります。
- 大規模な改修: 照明設備全体の刷新や建物全体の配電工事を伴う場合。
- 機能追加: 単なる取替ではなく、新たな機能を追加する工事を行った場合。
- 価値向上: 建物や設備の価値を明らかに高める目的での取替や改修。
これらの場合、支出は資本的支出とみなされ、資産計上して減価償却を行う必要があります。
実務上の対応
当社では、照明器具、特にソケットの劣化状況を考慮した管球交換や、ダウンライトのように器具一括にて交換することについて丁寧な現地調査によりお客様にご提案しています。
建物への固定的付属(つまり、器具交換かランプ交換か)に関わらず、照明交換工事のみであれば、修繕費として費用を一括計上することが可能です。
お客様からのご相談を受けた場合に、国税庁の質疑応答をご紹介し、修繕費として処理できる、との回答をしております。
最終的な判断は、企業の経理担当者や税理士と十分に協議することが重要です。
LED照明のレンタルやリースについても会計基準の判断が異なる場合があります。
詳しくは顧問会計士にご相談ください。
まとめ
LED照明の取替について、初めてのご経験の方も少なくありません。
当社では、病院、学校、各種自治体施設等において、様々な実績とお客様のご相談を受けてきた経験がございます。
LED照明リニューアル工事の際は、プライム・スター株式会社まで、ご相談をお待ちしております。