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徹底比較!レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリー

徹底比較!レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリー
目次

再生可能エネルギーの普及に伴い、太陽光や風力といったエネルギー源から得られる電力を効果的に利用し、貯蔵する技術が重要性を増しています。

その中心にあるのが蓄電池技術です。

本記事では、再生可能エネルギーの新しい蓄電池技術として近年注目されているレドックスフローバッテリーについて、
現在、最もよく使われている蓄電池技術であるリチウムイオンバッテリーと比較しながら解説したいと思います。

これら二つの技術は、再生可能エネルギーシステムの効率化と安定化に寄与する可能性を持ちながら、それぞれ異なる特性を有していますので、それぞれの利点と課題を明らかにしていきます。

レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリーの基本

レドックスフローバッテリーは、二種類の液体電解質を使用し、これらをセル内で循環させることによりエネルギーを貯蔵および放出します。このタイプのバッテリーは大量のエネルギーを長期間保存することが可能であり、大規模な再生可能エネルギー源に適しています。

一方、リチウムイオンバッテリーは固体の電極と液体の電解質を用い、高いエネルギー密度を実現しています。これにより、比較的小規模ながら高効率でエネルギーを貯蔵でき、家庭用蓄電システムや電気自動車など幅広い用途に利用されています。

エネルギー貯蔵能力と効率

レドックスフローバッテリーの最大の利点の一つは、スケーラビリティです。

電解質の量を増やすことで容易に貯蔵容量を拡大でき、大規模なエネルギー貯蔵が可能になります。また、放電期間が長く、一度に多量の電力を長時間放出できるため、太陽光や風力発電のような間欠的な再生可能エネルギー源の安定供給に貢献します。

しかし、エネルギー密度はリチウムイオンバッテリーに比べて低く、同じ量のエネルギーを貯蔵するためにはより大きなスペースが必要です。

リチウムイオンバッテリーはその高いエネルギー密度により、小型でありながら大量のエネルギーを貯蔵できるため、レドックスフローバッテリーとの比較すると、設置面積は効率的です。

ただし、大型になると、リチウムイオン電池では発火リスク回避等のための3.5M以上の離隔が必要になるのに対し、レドックスフローバッテリー(RFB)では隔離不要のため、それほど必要面積は変わらなくなります。

小型向けの用途では、リチウムイオン電池はその高いエネルギー密度により、家庭用蓄電システムや電気自動車に最適であり、短時間での高出力が求められる用途に適していますが、連続使用における劣化が比較的早く、寿命やサイクル耐性の面では、レドックスフローバッテリーに劣ります。

安全性と環境影響

レドックスフローバッテリーは、非常に安全なエネルギー貯蔵システムのひとつです。
液体電解質を使用しているため、過熱や発火のリスクが極めて低く、大規模なシステムに適しています。また、使用される化学物質は、リチウムイオンに比べ環境に対して優しいものが多く、廃棄時の環境負荷も小さいという特性を持っています。

一方、リチウムイオンバッテリーでは、高いエネルギー密度が安全上の課題を引き起こすことがあります。特に、内部でのショートサーキットが発火や爆発を引き起こす可能性があり、厳密な管理と保護回路が必要です。
また、環境への影響については、リチウムやコバルトなどの鉱物資源の採掘が必要となり、それが問題視されることがあります。これらの資源は限られており、採掘過程での環境破壊や人権問題も懸念されています。

コストと寿命

レドックスフローバッテリーの初期コストは、リチウムイオン電池と比べると高額であるものの、その長寿命と低メンテナンスコストを考慮すると、長期的には経済的に有利になることがあります。

反対に、リチウムイオンバッテリーは、生産コストの低下と技術革新により、比較的安価になりつつあります。しかし、レドックスフローに比べ、寿命が短く、高頻度での交換が必要になるというデメリットもあります。

将来性と技術革新

再生可能エネルギーの普及とともに、レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリーは、エネルギー貯蔵技術の未来において重要な役割を果たします。

リチウムイオンバッテリーは、安全性の向上、使用資源の多様化、リサイクル技術の進展等により、広範な用途での利用が予想されますが、安全面での課題解決が活用時の注意点です。

一方、レドックスフローバッテリーは、新しい電解質の開発やシステム効率の向上により、より経済的かつ効率的なエネルギー貯蔵ソリューションとしての地位を確立していく可能性があり、世界で注目され始めています。

まとめ

このように、レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリーは、再生可能エネルギーの蓄電池としてそれぞれ独自の利点と課題を持ちます。

両者の適切な組み合わせと活用により、エネルギー供給の安定化、環境への負荷低減、エネルギー貯蔵コストの削減が実現可能です。

エネルギー貯蔵技術は、再生可能エネルギーの更なる活用と地球環境の保全において、ますますその重要性を増しています。

レドックスフローバッテリーとリチウムイオンバッテリーの適切な活用と技術革新により、私たちはよりクリーンで持続可能なエネルギーシステムへの移行を加速させることができると確信しています。

この記事を書いた人

プライム・スター株式会社 代表取締役

下田知代

LED照明コンサルティングから製造へ進出、 現在はエネルギーをつくる・ためる・へらすの総合的なソリューションを提案中。 お客様の課題解決のため、実践的な情報をコラムにてお届けします。