【高輪ゲートウェイシティ】未来都市の実験場。持続可能なまちづくりと最新技術とは?

未来の都市モデルを創る実験場
2025年3月27日、JR東日本が手掛ける大規模な都市開発プロジェクト「高輪ゲートウェイシティ」がいよいよ開業します。
この街は「100年先の心豊かなくらしのための実験場」として設計され、持続可能な社会の実現を目指しています。
環境負荷を抑えながら都市の利便性を高め、文化とビジネスが融合する未来都市の姿を体現する「高輪ゲートウェイシティ」をご紹介いたします。
歴史と背景──鉄道発祥の地から未来都市へ
高輪ゲートウェイシティが位置するのは、かつて品川車両基地があった場所。
150年以上前、日本で初めて鉄道が開通した歴史的な地であり、明治以来、日本の発展を支えてきた要衝でもあります。
JR東日本は、この歴史を尊重しつつ、次の100年を見据えた持続可能なまちづくりを目指しています。
100年先を見据えたまちづくりのコンセプト
高輪ゲートウェイシティ開発の柱は次の三点です。
- 持続可能性──「ゼロカーボン・チャレンジ2050」に基づき、CO₂排出量の実質ゼロを目指す
- 地域との共創──住民や企業との連携を強化し、地域ニーズに応じた施設・サービスを提供
- 文化とビジネスの融合──国際的なビジネスと文化交流を促進し、新たなイノベーションを創出
ネットゼロ実現への具体的な取り組み
高輪ゲートウェイシティでは、環境負荷を抑えつつ都市機能を最大化するため、さまざまな技術を導入しています。
- 再生可能エネルギーの活用
• 水素エネルギー:水素燃料電池を駅構内やモビリティに活用し、将来的には街内で水素を製造
• バイオガス:食品廃棄物をバイオガス化し、廃棄物削減とエネルギー循環を推進
• 太陽光・風力発電:街の各所に設置し、クリーンエネルギーの自給自足を目指す - エネルギーマネジメントシステムの導入
エネルギー需給を最適化し、CO₂排出量を削減するシステムを採用。AIを活用し、リアルタイムでエネルギーの流れを制御することで、効率的なエネルギー利用を実現する。 - サーキュラーエコノミーの推進
• 食品廃棄物の再利用:施設内のケータリングで発生する食品残渣を、バイオガス設備でエネルギー化
• 蓄熱システムの活用:夜間に製造した冷熱を蓄え、ピーク時に供給する国内最大級の蓄熱槽を設置 - 環境配慮型物流の実現
• IoTを活用したスマートロジスティクス:配送の最適化でCO₂排出を削減
• 燃料電池トラックの導入:クリーンな輸送手段を積極活用し、都市の環境負荷を低減
未来の都市モデルとしての役割
高輪ゲートウェイシティは、鉄道発祥の地から「100年先の実験場」へと進化を遂げます。
再生可能エネルギーの活用、スマートエネルギーマネジメント、サーキュラーエコノミーの推進、そして環境配慮型物流の導入── これらの取り組みにより、高輪ゲートウェイシティは次世代の持続可能な都市モデルとして、国内はもとより、世界的にも注目を集めることでしょう。
今後、東京都内では各所で大規模な開発が続きます。
野村不動産株式会社と東日本旅客鉄道株式会社が共同で推進している「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」プロジェクトでは、オフィス部分において「ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の認証取得を予定しています。
さらに、燃料電池の排ガスを活用した排水中和システムの導入を検討しており、これによりCO₂の回収・有効利用(CCU)を実現する予定です。
ある著名な政治家の方とお会いした際、「100年先の日本についてどう考えるか」との議論になりました。
残念ながら、その時は明確な回答を得ることはできませんでした。
ですが、高輪ゲートウェイシティにおける取組が、都市部だけでなく各地域にて、また、機能面にとどまらず付加価値の向上やライフセントリックな場の提供として、「100年先のこころ豊かなくらしにつながる」モデルケースとして見えてくるのではないでしょうか。