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エアコンの2027年問題とは?ビル用マルチのフロン規制と空調更新を解説

エアコンの2027年問題とは?ビル用マルチのフロン規制と空調更新を解説
目次

蛍光灯の2027年問題」はご存じの方も多いと思いますが、実はエアコンにも”2027年”の節目があることをご存じでしょうか。

経済産業省の指定製品制度により、オフィスビルや商業施設で広く使われているビル用マルチエアコンは、2027年度を目標年度として冷媒のGWP(地球温暖化係数)を750以下にすることが求められています。

これにより、現在主流のR410A冷媒を使った機種は順次姿を消し、R32などの低GWP冷媒へと世代交代が進みます。

「まだ動いているから大丈夫」と更新を先送りにしていると、蛍光灯のときと同じように、駆け込み需要による品薄・価格上昇・工事業者の確保難に直面するおそれがあります。
本コラムでは、施設・総務担当者の方に向けて、規制の中身と、いま準備しておくべきことを解説します。

【蛍光灯の2027年問題についてはこちら】
蛍光灯が製造中止!?LED照明に未交換の人必見。意外と知らない2027年問題

 

ビル用マルチエアコンは2027年度からGWP750規制へ

  • 経済産業省はフロン排出抑制法(オゾン層保護法に基づく指定製品制度)により、ビル用マルチエアコン(既設利用を除く)の冷媒GWP目標値を750、目標年度を2027年度と設定
  • 設備用エアコンとガスエンジンヒートポンプエアコン(GHP)は目標年度2029年度
  • 現在の主流冷媒R410AはGWP約2,090であり目標値を大きく超えるため、メーカーはR32(GWP約675)などへの転換を加速中
  • いま使っている機器がすぐ使えなくなるわけではないが、修理用冷媒の入手性やメンテナンスコストは中長期的に悪化していく見込み
  • 空調はオフィスの電力消費の大きな割合を占めるため、更新は電気代削減の最大のチャンスでもある

 

「エアコンの2027年問題」とは?

蛍光灯は水銀に関する水俣条約により2027年末で製造・輸出入が終了し、照明のLED化が一気に進みました。
エアコンで起きようとしているのは、これとよく似た構図です。

規制の対象になるのは「いま設置されている機器」ではなく「これから製造・出荷される機器」です。
つまり、使用禁止ではなく、新製品の環境性能規制です。
しかし市場への影響は段階的に現れます。

  • 旧冷媒機種の生産終了・モデル削減:メーカーはR410A機のラインナップを縮小し、R32機に切り替えていきます
  • 修理・補充用冷媒の値上がり:フロン類は生産量の段階的削減(キガリ改正)が進んでおり、旧冷媒の価格は上昇傾向にあります
  • 更新需要の集中規制の節目に向けて更新が集中すると、機器の納期遅延や工事費の上昇が起こりえます

 

そもそもフロン排出抑制法とは?

業務用エアコンをお使いの事業者には、実はすでに法律上の義務があります。
フロン排出抑制法では、業務用空調機器の「管理者」(原則として所有者)に対して次のことを求めています。

  • 簡易点検:すべての業務用エアコンについて3か月に1回以上
  • 定期点検:一定規模以上(圧縮機の定格出力7.5kW以上)の機器は専門業者による点検(7.5kW以上50kW未満は3年に1回以上、50kW以上は1年に1回以上)
  • 漏えい時の対応と算定漏えい量の報告:年間のフロン漏えい量が一定以上(CO2換算1,000トン以上)の場合は国への報告義務
  • 廃棄時のフロン回収:機器を廃棄する際は充塡回収業者への引渡しが必要で、違反には罰則(直罰)があります

「点検記録が残っていない」「リモコンにエラーが出たまま使っている」という状態は、法令リスクと電気代のムダの両方を抱えている状態です。

2027年度問題への備えは、まずこの点検・記録の棚卸しから始まります。

 

何が変わる?

R410AからR32への冷媒転換で低GWP冷媒への転換です。R32は「微燃性(A2L)」の冷媒です。

これにより機器選定にも新しい観点が加わります。

安全性は国際規格・国内基準で確保されていますが、設置室の床面積に応じた冷媒量の制限や、漏えい検知・遮断弁などの安全対策が求められるケースがあります。
ビル用マルチは冷媒配管が長く充塡量も多いため、「どの部屋に、どの容量の室内機を置くか」という設計段階からの検討が従来以上に重要になります。

また、既存の冷媒配管を再利用できるかどうか(リプレース対応)も機種・条件によって異なります。
テナントビルでは工事可能な時間帯の制約もあるため、設計・工事の検討期間は従来より長めに見込むのが安全です。

 

更新は「コスト」ではなく「チャンス」

資源エネルギー庁の推計では、夏の日中のオフィスビルの電力消費のうち空調が約5割、照明が約2割を占めるとされています。

つまり空調と照明で電力の約7割
ここに手を入れずに電気代対策は語れません。

  • 機器の高効率化:15年前の機種と最新機種では、期間消費電力量が大きく改善しています。老朽機は冷媒漏えいや熱交換器の汚れで実際の効率がさらに落ちていることも多く、更新による削減率はカタログ値以上になるケースもあります
  • 照明×空調の統合制御:人感センサーやスケジュール制御で「人がいないエリアの照明と空調を同時に絞る」ことができれば、削減効果は掛け算になります。KNXなどのオープンプロトコルを使えば、照明・空調・ブラインドをひとつのシステムで制御できます
  • EMSによる見える化:フロアごと・系統ごとの電力を見える化すると、「設定温度は同じなのに電力が突出しているフロア」=不具合や運用のムダが見つかります。更新の優先順位づけにもそのまま使えます

2026年7月からは電気・ガス料金の政府補助が再開されていますが、これはあくまで一時的な措置です。

補助金で下がっている間に構造的な削減(設備の高効率化と制御)へ踏み出せるかが、来年以降の光熱費を左右します。

更新は「コスト」ではなく、電気代削減の最大の「チャンス」です。

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使える補助金は?(2026年度)

業務用空調の更新には、国・自治体の補助金を活用できる可能性があります。

  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業(省エネ補助金):高効率空調などの設備更新が対象になる区分があります
  • 環境省 SHIFT事業:CO2削減計画とセットで設備更新を支援
  • 中小企業省力化投資補助金:カタログ型で業務用エアコンが対象になるケースがあります
  • 自治体独自の補助金:東京都をはじめ、地域独自の省エネ助成が多数あります

いずれも公募期間・要件が細かく変わるため、「更新計画を立ててから補助金を探す」のではなく、補助金の公募スケジュールから逆算して更新計画を立てるのが採択への近道です。

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施設・総務担当者がいまやるべき5つのこと

  • 保有機器の棚卸し設置年・冷媒種類(銘板やフロン点検記録で確認可)・容量・点検履歴を一覧化する
  • フロン点検の状況確認:簡易点検・定期点検の記録が法令どおり残っているか確認する
  • 更新優先順位の設定:設置15年超・R22やR410A使用・故障歴ありの機器から優先的に計画する
  • 電力の見える化:EMSで空調系統の電力を把握し、削減余地と更新効果を数値で示せるようにする
  • 補助金スケジュールの確認:2026〜2027年度の公募時期を押さえ、設計・見積りを前倒しで進める

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 2027年度以降、いまのR410Aエアコンは使えなくなりますか?
A. いいえ。規制対象は新たに製造・出荷される機器であり、既設機器の使用は禁止されません。
ただし旧冷媒の入手性低下や修理費上昇のリスクは高まっていきます。

Q2.「2027年度・GWP750」の根拠は何ですか?
A. フロン排出抑制法に基づく指定製品制度で、経済産業省がビル用マルチエアコン(既設利用を除く)の目標値をGWP750・目標年度2027年度と設定しています。
設備用エアコン・GHPは2029年度です。

Q3. R32のエアコンは危険ではないですか?
A. R32は「微燃性」に分類されますが、燃焼には高い濃度と着火源が必要で、基準に沿った設計・施工を行えば安全に使用できます。
部屋の広さに応じた冷媒量制限や安全装置の要件があるため、実績のある業者に設計を依頼することが重要です。

Q4. 蛍光灯の2027年問題と同時に対応すべきですか?
A. 同時期に工事をまとめることで、天井内工事の共通化や停電作業の集約、補助金の一体申請など、コスト面のメリットが出やすくなります。
照明LED化と空調更新、そして両者の統合制御までをワンセットで計画するのがおすすめです。

 

まとめ

エアコンの2027年問題は、単なる規制対応ではなく、電力消費の約5割を占める空調に手を入れる絶好の機会です。
そして照明LED化・太陽光発電・蓄電池・EMSと組み合わせることで、建物全体のエネルギーを「つくる・ためる・へらす・ループする」形に最適化できます。

プライム・スターでは、LED照明・照明制御にとどまらず、KNXによる照明×空調の統合制御、EMSによる電力の見える化まで、建物全体のエネルギー最適化をご提案しています。
赤坂のショールームでは照明制御や建物制御インターフェースを実際に体感いただけます。

照明の次は空調。建物全体の「エネルギーループ」へ ーー

空調更新のタイミングで「建物まるごとの省エネ」をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人

プライム・スター株式会社 代表取締役

下田知代

LED照明コンサルティングから製造へ進出、 現在はエネルギーをつくる・ためる・へらすの総合的なソリューションを提案中。 お客様の課題解決のため、実践的な情報をコラムにてお届けします。